第18節バイーア対サントス スタジアムで生観戦 久々にサントス勝利の歓喜を味わえた


8月21日日曜日、バイーアのホーム、ピトゥアス競技場に行ってきた。サントス戦を見るためである。


ブラジル選手権は、全試合がホームアンドアウェイで行われるため、サルヴァドールに1部のチームがある限り、1試合だけは必ず我が街サルヴァドールでもサントスの試合が行われる。
今年はバイーアが、そして去年まではヴィトリアが1部にいたので、毎年1試合は、サルヴァドールで試合があるのだ。
去年は、たまたま、コッパドブラジルの決勝がサントス対ヴィトリアになったため、2試合行われた。
去年もサルヴァドールで行われたブラジル選手権、ヴィトリア対サントスの試合を観に行ったが、サントス側はガラガラだった。本当に驚くほどに少なかった。
意外に思われるかもしれないが、サントスのファンは驚くほど少ない。これが、コリンチャンスフラメンゴともなるとアウェーでも満席になるが、サントスほどの名門チームでも我が街サルヴァドールにはあまりファンがいないというのが実情である。


ということで、今年もサントス戦のサントス側はガラガラだろう、と思っていたら、いろいろな人から、「(サントス戦の)チケットはもう買ったか?」と聞かれた。
今年は、ネイマールがブレークしているので、かなりの人がサントス戦を観に行こうと思っているようだ。そのため、アウェイのチケットが発売になった木曜日(8月18日)に急いで購入したのだった。


日曜日、試合開始は夕方6時だった。午後4時40分ごろ自宅を出た。
7月に一度、ボタフォゴ戦を観に行っているので、その要領で車を停めればいいと思っていたのだが、その部分(路駐)には、警察が取り締まりを行っていたので、違うところに停めることにした。
それにしても、ボタフォゴ戦よりも桁違いに車の量も多かった。
車を停めてからスタジアムまで、ゆっくり歩き15分ぐらいかかっただろうか・・・。
周りは、バイーアのユニフォームに身を包んだ人ばかりだった。


途中、長男のサッカー仲間に会った。彼も当然のごとく、バイーアのユニフォームを着ていた。


スタジアム周辺の雑踏を通り抜け、アウェイ側のスタンドに入ったのが、開始30分ほど前の5時半ごろだった。
まず入って思ったのは、去年までとは違うということだ。すでに、たくさんのサンチスタでかなりの席が埋まっていた。
といっても、ところどころにあいているので、我々家族4人は比較的前の目ぼしいところに座ることにした。
スタジアムに入り、席につくと少しホッとする。ここで初めて、サントスのユニフォームに着替える。スタジアムの外は95%がバイーアのファンだから、サントスファンだと思われるだけでとても危険なので、アウェイのときは必ずそうするのだ。


ヴィトリアのバハダオンに比べて、ここバイーアのピトゥアスはスタジアムとして格段にいい。何しろ、ちゃんとした座席になっている。バハダオンは単なる石段だから・・・。
それにしても、これだけサントスファンがいたら盛り上がる。太鼓隊もおり、開始前からサントスの応援歌を皆で熱唱したり、大きな応援旗を掲げたりしていた。


グラウンドでは、それぞれのチームのGKが練習していた。


そして、開始10分ほど前に、両チームの選手が入ってきた。ブラジル特有の各チームがバラバラに、それぞれの応援の子どもたちを引き連れて走りながら入ってくるのだ。
ネイマールの周りだけ一際人の数が多かった。本当にすごい人だった。
そのままネイマールは、TVのインタビューなどを受けていて、国歌斉唱の列に少し遅れて入ったぐらいだった。




さて、この日のサントスのメンバーは豪華だった。

GK:ハファエロ
右SB:アドリアーノ(前節パラーがレッドカードのため、通常ボランチだがこの日は右SBに入った)
CB:右ブルーノ・ホドリゴ(前節レッドカードを受けたエドゥー・ドゥラセーナの代わりに入る)
   左ドゥリヴァウ
左SB:レオ
ボランチ:アロウカ
MF:右エラーノ(けがから久々に復帰。この日はエドゥー・ドゥラセーナ不在のためキャプテンだった)
   左エンヒーケ
   中央(トップ下)ガンソ
FW:右ボルジェス
   左ネイマール


という布陣だった。
ネイマール、ガンソ、それにエラーノのプレーが生で観れることが嬉しかった。


さて、試合は開始早々から動いた。
前半3分にガンソがペナルティエリアで倒され、サントスにPKが与えられたのだ。
蹴るのはネイマールだった。
サントスのPKはキッカーがなかなか決まらない。ネイマールは、去年パラジーニャ(PKの直前に蹴るのを一瞬止めGKの動きを見てからシュートすること)が禁止になって以来、かなり外しているし、その後務めたエラーノは、コッパアメリカ、そして7月末のフラメンゴ戦で外しているし、前節ではボルジェスがこれも見事に外している。
ということで、誰が蹴るのか注目したが、やはりネイマールだった。
私は、これでいいと思った。やはりサントスのエースはネイマールなのだから・・・。
これを何とか決めてくれた。GKの手をかすめるような右端、本当に右端ぎりぎりのところに入ってくれた。
本当に危なかった、と思ったが、入ってくれてよかった。
サントス応援席は、歓喜の渦だ。私も子どもたちを抱き上げて喜んだ。



その後すぐ、またもサントスに決定的なチャンスが訪れた。
カウンターから左SBレオからネイマールに絶妙なパスが渡り、GKと1対1にになったのだ。これは決めてくれ、と思ったが、シュートはGK正面だった。そしてGKの弾いたこぼれ球をボルジェスもシュートするが、惜しくも枠外に外れてしまった。


そんな感じで最初の15分ぐらいはよかったのだが、その後は一転してバイーアのペースになってしまった。


このスタジアムは、本当に見やすい。選手の動きもTVで見るよりも格段によくわかった。
まず、サントスの布陣は、かなり左サイドに偏っていた。これは不思議なのだが、右側3分の1ぐらいは空いているのだ。これは、通常レギュラーの右SBパラーがいないせいなのか、意図的にやっているのかわからないが、相当なスペースができていた。
そのため、相手にそのスペースばかり突かれていた。
本当に、見ていて気が気ではなかった。
どれだけ決定的なピンチがあっただろうか・・・。
何とか、そんなピンチも、GKハファエロの必死のセーブで切り抜けてきたが、ついに前半28分に決められてしまった。


これにはかなりがっくりきた。
この流れからして、サントスにとってかなり厳しいと思わざるをえなかったからだ。


その後もバイーアの猛攻を受け、仕舞いにはGKハファエロが負傷してしまう。頭にぐるぐる巻きにテーピングしながら、何とか前半終了まではプレーした。


前半は1−1で折り返した。


長男がトイレへ、次男は何か食べたい、というので、客席に妻をおいて、ハーフタイムに3人でロビーへ行った。
まず、スナックのようなものと水を買い、その後トイレに並んだのだが、これが長蛇の列だった。何とか、子どもたち二人のトイレを済ませることができたころに、後半が始まった。


まず気づいたことが、サントスのGKが代わっていたこと。ハファエロの負傷はかなり大きかったことを再認識させられた。


さて、後半もバイーアのペースだ。
サントスはあれだけのメンバーを揃えているのに、チャンスが作れないのだ。一体どうなっているのだろうか・・・。
選手ごとにみると、ガンソはどうしようもなくダメだった。だいたい動きがタラタラして全然走らないし・・・。パスしかしないが、そのパスの精度も相当に低くほとんど繋がっていなかった。サントスの選手たちもガンソを極力避けている気さえもした。案の定、ガンソにボールが渡ると、ボールを失っていた。
客席からも、「ガンソ、プッハ!」という罵声まで飛んでいたし、本当にひどすぎた。
驚いたことに、翌日買ったスポーツ新聞の評価は(10点満点中)6点だった。私などからみると3点ぐらいのレベルだった。


エラーノは、まずまずだったとは思うが、ボールを持ってから次に移るスピードがとても遅く感じた。もっと早くやれよ、という感じだった。


ネイマールは、さすがという動きだった。やはり一人でチャンスを作れるし、動き自体もシャープだ。


ほかには、この日は何と言ってもGKハファエロだ。スポーツ新聞の評価も最高の8.5点がつけられていた。
あとは、攻撃の基点になっていたアロウカ、レオなどがよかったと思う。エンヒーキもなかなかよかったと思った。


さて、そんな感じで、後半もひやひやしながら見ていたが、何と、サントスにゴールが決まったのだ。
後半35分、エラーノのCKからゴールが決まったのだ。
私は、ゴールマウスの中にボールが入ったのは見えたのだが、誰がどのようにして入れたのかはわからなかった。
後で、youtubeで見たら、途中出場のアラン・カルデッキが見事なボレーシュートを決めていた。


これには、一同大喜びだ。子どもを高らかに上げて、私も喜んだ。


そして、残り約10分。最後にゴール正面での、相手ヒカルジーニョのFKも何とかセーブし、ついにサントス勝利の瞬間が来た。


本当に嬉しく思った。
あのチーム状態が最悪だったサントスが、私の目の前で勝ってくれたのだ。
生観戦でサントスの勝利を味わうのはいつぶりだろうか・・・。本当に、最近は負け続けていた気がしていたので、この勝利の歓喜には、喜びはひとしおだった。


それにしても、スタジアムでの生観戦は、本当におもしろい、そして選手個々の動きがよくわかることが再認識された。


そして、個々のパフォーマンスはまちまちだったが、注目のネイマール、ガンソ、そしてエラーノのプレーを生で観れたことは、本当によかったと思ったのだった。