開幕戦アルゼンチン対ボリビア アルゼンチンは大したことないのか?


ついにコッパ・アメリカ(南米選手権)が開幕した。


私の住むブラジルでも、けっこう話題の中心になっている。連日、TVのスポーツ・ニュースでは、セレソンの話題が中心だ。
シール・ブックなんかも売り出されており、子どもたちを中心にシール集めなども盛んに行われるのだろう。


さて、ここブラジルの時間で、開幕戦は7月1日(金)夜9時45分開始だった。
それに先駆けて、開幕アトラクションが行われた。私は、この日昼間に新聞を買い、驚いた。何と、我らが誇るブラジルを代表する歌姫、イヴェッチ・サンガーロが開幕アトラクションに出るというのだ。
これには、半信半疑だった。イヴェッチのブラジルでの人気は、それはすごいものがある。しかし、アルゼンチンではほとんど知られてないだろう。ましては、アルゼンチンとブラジルは大のライバル関係だ。いわば犬猿の仲ともいえる状態である。そんな間柄のブラジルからわざわざアルゼンチンで行われるコッパ・アメリカにイヴェッチが出るというのは、本当に不思議でならなかった。


私は、夜8時からは見れるときはいつもNHKの朝の連続テレビ小説「おひさま」を見ている。時差が12時間のため、こちらでは夜8時からの放送になるのだ。このドラマは、本当に珠玉の作品だと思う。時代柄のせいもあるだろうが、涙なしには見られない。
そんな「おひさま」を見終った8時15分に、スポーツチャンネルに変えたが、選手がスタジアム入りする姿を映しているだけで、開幕アトラクションは行われていなかった。そのため再びNHKにチャンネルを戻し、「ニュース深読み」というのを見ていた。この番組は、日本の最近起こっていること、時事問題などを的確に伝えてくれるので、けっこう好きで見れるときは見るようにしている。その一つ目の話題(佐賀県原発再開について)が終わり8時半ごろに再びスポーツチャンネルに変えたら、開幕アトラクションをやっていた。
しかし、イヴェッチは出ていない。
しばらくTV画面を凝視していたら、TVの実況者が興奮したような声で、「イヴェッチ・サンガーロの登場です!」と言うではないか・・・。ついにイヴェッチ登場である。
男性歌手とのデュエットの1曲で終わってしまった。いつものパワー溢れるイヴェッチ節はそれほど出ている感じではなかったが、ちゃんと出てくれて、それを見届けることができ、それは嬉しく思った。


その後、まだ試合開始まで1時間ほどあったが、適当にTVをつけながら、試合開始を待った。
近くのBarで見ようかとも思ったが、犬もいるし、雨も降ってきたし、自宅でTV観戦することにしたのだった。


さて、先発メンバーが発表された。
最近、今年になってからインテル(イタリア)の試合も見るようになったのでインテルの選手も知るようになり、ザネッティカンビアッソが出ていた。
注目のFWは3トップで、中央にメッシ、右に21番のLavezziという選手、そしてなんとあのカルリットス・テヴェスが左のFWとして先発出場を果たしていた。
これには正直驚いた。
監督セルヒオ・バチスタとの確執が伝えられ、やっとのことに代表に選ばれ、その上、先発出場してしまうのだから・・・。これは、とても嬉しいことだった。


ブラジルでの、特にコリンチアーノからのテヴェスの人気は、相当なものだ。もう、テヴェスがコリンチャンスを去ってかれこれ6年ほどになるが、テヴェスは今でもコリンチアーノのアイドルだ。2005年コリンチャンスでのテヴェスは本当にすごかった。あの破壊的な突破力は誰も止められなかった。コリンチャンスは、そんなテヴェスの大活躍で2005年のブラジル選手権で優勝を果たしたのだった。
私も、テヴェスは大好きな選手だ。テヴェスが出るので、目の色を変えて見始めた。


対するボリビアは、特に知った選手はいない。今、FIFAの世界ランキングを調べたら何と93位である。南米の中でも最も弱い部類に入るだろう。
開始前は、3−0、いや5−0ぐらいでアルゼンチンが勝つのかな、などと思っていた。


さて試合は始まった。
序盤は、アルゼンチンがとてもよかった。ほとんどボールを支配していた。前半途中でTVの実況者がアルゼンチンのボール支配率は何と78%だと言っていた。
テヴェスもいい動きだ。メッシも最高潮ではないが、時折メッシらしい動きを魅せていた。
しかし、ゴールが奪えない。そんな感じで試合は進んでいったが、だんだんとボリビアの動きがよくなってきた。アルゼンチン圧倒という感じではなくなってきた。
そんな感じで、前半は0−0で終了した。


前半、テヴェスはイエローカードをもらっていたので、後半は代えられてしまうだろうなぁと思っていたが、後半もテヴェスはプレーを続けてくれた。
後半開始から交代したのは、ジ・マリア投入だったが、交代したのはカンビアッソだった。
左のFWにジ・マリアが入り、右は前半と同様21番のLavezziという人だった。
メッシとテヴェスの位置がよくわからなかった。テヴェスもメッシも後半は極端にボールに触る機会が減った。テヴェスなんてほとんどTVに映らないので、どこにいるのかよくわからなかった。
メッシの位置がだいぶ引き気味に思えた。これは確かではないが、テヴェスが中央のFWの位置で、メッシは2列目に下がったようだった。


それより、攻撃の起点になっていたのは、左のジ・マリア、そして右のLavezziだった。
しかし、ジ・マリアも悪くはないのだが、レアルで見せるほどの切れ味が感じられない。Lavezziは、いいところまで行くのだが、クロスにまったく精度を欠いていた。この選手、初めて見たが、ドリブル突破は出来るが、パスセンスはゼロだなと思った。


テヴェスは全然ボールに触らないし、メッシもかなり低い位置なので、いつものような威力が感じられない。


最初のゴールは、意外にもボリビアに決まった。CKからゴール前にいた19番の選手がボール処理を誤り、GKもそれに反応できず、ゴールが決まってしまったのだ。
まだ、時間は十分あったが、それ以降、アルゼンチンはずいぶんと浮足立っているように感じた。


決して、アルゼンチンが超格上の貫録を見せるわけでもなく、ただただ時間だけが過ぎていく感じだった。


それが一変したのが、アグエロの投入だった。Lavezziと交代だ。
アグエロは明らかに、今までのピッチ上の選手とは一線を画していた。躍動感に満ち溢れているのだ。やる気に満ち溢れている。明らかにほかの選手とは違った。
ファーストタッチでいきなりシュートを放った。これは枠内を外れたが、積極的な姿勢がいい。
そんな中、左後方からクロスが入り、近くの選手が胸トラップしたボールを、ゴール前ほぼ中央にいたアグエロが鋭い一振りで見事にゴールを決めたのだ。
これは、まさにゴラッソ(素晴らしいゴール)だった。とても胸のスカッとするようなゴールだった。


しかし、これでアルゼンチンが盛り返すかとも思ったが、そうではなかった。


前半はアルゼンチンがよかっただろう。しかし、後半だけみると、アルゼンチンに覇気は感じられず、ほぼ互角といってもいいのではないだろうか・・・。


結局1−1で引き分けだった。戦前の予想を大きく覆す結果だった。
これは、単に運がなかっただけとは思えない。もっと根本的に解決しなければならない問題があるような気がする。


日本が出ていたら、かなりおもしろかっただろうなぁ、と思わざるを得ない。


まぁ、まだ始まったばかりだ。これからアルゼンチンはどのような戦いぶりをするのか、そして他の国はどうなのか、本当に楽しみは始まったばかりなのである。