サントスのホームスタジアム「ヴィラ・ベルミーロ」へ行ってきた(導入編)


サントス優勝の翌日6月23日は、国民の祝日だった。


昨晩の余韻が残る中、いつの間にか眠っていた私は、朝6時過ぎに目を覚ました。
とにかく、この感動を記憶の新しいうちに文章にしたためておこうと思い、パソコンに向かった。


途中でTVをスポーツチャンネルにすると、昨晩の試合の再放送をやっていた。時間を見ると前半30分になっていた。パソコンでの作業を止め、昨晩の試合を見入ることにした。


記憶がよみがえる。本当にいい試合だった。改めて、サントスの一方的な試合だったことがよくわかった。
後半早々のネイマールのゴールは本当に見事だった。アロウカ、ガンソ、アロウカ、そしてネイマール。さすがはネイマールだ。決めるべきところで決めてくれた。
2点目のダニーロのゴールも見事だった。これは、エラーノのパスが起点になっていた。
ガンソのプレーは、復帰明けとは思えないほど冴えていた。
ネイマールとガンソ。やはりこの二人は騒がれるだけあるなぁ、やはり素晴らしい選手だなぁと再認識させられたのだった。
試合終了まで見届け、再び文章を記述する作業に入った。11時近くまでかかったが、完成させることができ、シャワーなど浴びて、出かけたのは昼の12時近くになってしまった。


この日は、サントスに出かけることに決めていた。サントスのホームスタジアムのヴィラ・ベルミーロに行くのだ。


ホテルを出て驚いた。すごく天気がよく暑いのだ。この時期のサンパウロは寒いと思い込んでいただけに、予想外だった。
まずは、ホテル近くのバンカ(新聞スタンド)で新聞を買った。
すべて一面はサントスだ。こんなことが今まであっただろうか?TVをつけてもサントス、新聞でもサントス。話題はすべてサントスなのだ。こんな嬉しいことはない。
新聞と同時に、早速優勝記念ポスターも売っていたので喜んで購入した。



地下鉄の駅まで歩き、ジャバクアラのバスターミナルから長距離バスに乗り、サントスへ向かった。



バスでサントスに行くのは3回目だと思うが、このバスは本当に居心地がいい。片道17レアル(約850円)と激安だし・・・。
最初のうちは、大量に買った新聞でサントス優勝の記事を読んでいたが、いつの間にか眠ってしまっていた。


気がつくと、峠に来ており、先ほどまでの天気が嘘のように、すごい霧が発生していた。
いつもそうなのだが、サンパウロからサントスに向かう峠では、必ずといっていいほど、霧に包まれるのだ。
サンパウロは標高約800Mに位置する。サントスは海沿いの街なのでほぼ0Mだ。サンパウロからサントスへ行くには、800Mを下ることになる。そうすると、天気がまったく違ったりするのである。
この日も、サンパウロは快晴だったが、サントスに下りたら曇りだった。しかし、雨でなくてよかったと思った。


特に急ぐ旅でもなかったので、サントスのホドビアーリア(長距離バスターミナル)で降りず、しばらく乗り続けることにした。
小腹がすいてきたので、近くを通れたら、日本食レストラン「ながさきや」にでも行けたらいいなぁ、なんて思いながら、車窓を眺めていた。
通っていた道が、「ながさきや」の前の通りに似ていたが、全然違ったようで、いつの間にか海に出た。
バスの運転手に「ゴンザガ(海岸)は通らないのか?」と聞くと、「通らないよ、どんどん離れていくよ。」と言うので、すぐに降りることにした。

思いがけず、サントスの海を眺めることができた。
サントスにはよく行っていたが、そのほとんどが、サッカー観戦のためだった。サッカー観戦以外では、2006年に最初に行ったときぐらいだろう。海まで来たのは、本当に久しぶりだ。



冬だというのに、曇っているというのに、水着を着て海で遊んでいる人があまりに多いのには驚いた。
2006年最初に来たときにも思ったのだが、海があるってだけでサンパウロとは全然違う。開放的で温暖で、サントスはとてもいい街だと思ったものだった。


しばらく海沿いを散歩した。本当に気持ちがいい。
少し歩くと、手巻き屋があったので、そこでビールと手巻きを食べることにした。
そのまま、目的地のヴィラ・ベルミーロまで歩いて行った。



こうやって、旅先で訪れた街を歩いていると、学生時代を思い出す。
あのころは、バックパッカーというのか、長期休暇になるたびに、ふらふらーとよく旅に出ていた。そして、旅先の街ではひたすら歩いていた。それがとても楽しかったのだ。
この日、サントスで歩き続けていて、ふとそんなことを思い出した。


そんなことをしていたら、目的のヴィラ・ベルミーロに着いたときには、午後4時になっていたのだった。