ブラジル対パラグアイ ブラジルはやっとのことで負けを免れた


7月9日(土)午後4時から、ブラジルの第2戦が行われた。1戦目があまりに不甲斐なかったため、この試合はかなり楽しみにしていた。


さて、先発メンバーだが、前試合と比べて7番のホビーニョが外れ20番ジャジソンが入っていた。
このジャジソンについてはあまり知らないのだが、ウクライナの強豪・シャフタール・ドネツクに所属しており、監督がマノ・メネーゼスになってからセレソンにも呼ばれるようになった選手である。
前試合で低調なパフォーマンスに終始したガンソについては、心配していたが、先発をキープしていた。


相手は、パラグアイである。パラグアイといえば、去年のW杯で日本と死闘を演じたことが記憶に新しいが、世界ランキング32位につけ、南米では、ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイの3強の次に位置する中堅国である。
先発選手として知っている人は、香川のボルシア・ドルトムンドのチームメイトでよく活躍していたFWのルーカスぐらいだが、名前的には、FWサンタ・クルーズ、MFヴェラなどは聞いたことがあった。


前試合を引き分けているので、この試合は何としても勝ってほしかった。特にサンチスタとしては、ネイマール、ガンソには頑張ってもらいたかった。


それと、一人注目を浴びるサポーターの姿がスタンドの中から映った。去年のW杯で一躍有名になった、パラグアイのラリッサ・ヒケルメ嬢である。去年と同様、胸にはケイタイを入れて応援している。


さて試合は、開始早々、パラグアイのFWサンタ・クルーズがGKと1対1になるという決定的なピンチがあったが、これは枠外に外してくれて事無きを得た。
その後は落ち着き、ブラジルが徐々にペースを掴んでいった。しかし、決定的チャンスはほとんど訪れない。
そんな感じで時間だけが進んでいったが、前半38分、ブラジルにゴールが決まった。
これは、ガンソからのワンタッチパスを受けたジャジソンが打ったシュートが、ゴールの左サイドネットを揺らしたのだ。ペナルティエリア外からのけっこう距離のあるシュートで、本当によく入ってくれたと思う。
そのまま前半は1−0で終了した。


後半は開始から、そのゴールを決めたジャジソンに代わり、16番のエラーノが入った。
ジャジソンを代えた理由だが、TVの解説者のカーザグランジ(元セレソン選手)は、イエローカードをもらっているからだろうと言っていた。ジャジソンが悪かったとは到底思えなかったからだ。ジャジソンは、ミスもあったが、それを十分に補完できるいい動きをしていたと思う。値千金のゴールも決めたし・・・。


後半も、前半の流れが続いていた。しかし、後半10分にそれが一変してしまうのである。
カウンターから一気に、パラグアイにゴールを奪われてしまったのだ。まさに一瞬の隙を突くとはこのことを言うのだろう。TVの映像も、前プレーのリプレイなどやっていて、ゴールが決まる瞬間にやっと映像が戻ったぐらいだ。


その後は、パラグアイペースになる。
そんな中、その12分後に、再びパラグアイにゴールが決まってしまったのだ。これも、見事に崩されてしまい、最後は、CBルッシオが必死に足を出しディフェンスするが、運悪くその球がGKの頭上を越え、ゴールマウスの中にきれいに入って行ったのだ。
決めたのは、途中出場のヴァルデスだ。この太ったFWは、W杯のときにも見た顔だ。


この日のブラジルは、前半、ペースを掴んでいたときでさえ、決してよくはなかった。試合を支配するが、まったくゴールが決まる予感がしない。
ジャジソンが決めたゴールも、相手DFを崩したわけではなく、かなり手前から打った球がたまたま入ってくれたような感じだった。


その後、まだ後半も半分残っていたが、かなり厳しいと思わざるを得なかった。
期待のネイマールは、サントスやセレソンの親善試合で魅せるようなキレがまったく見られない。もっとゴールに向かう姿勢を強めないといけない。サッカーはゴールを決めてなんぼの世界なのだから・・・。
ガンソは、前試合に比べればかなりよくなっていたが、それだけで打開できるわけではない。
攻撃がチグハグというか、まったく相手を崩し切れない。ゴールなど決まる予感など皆無に等しい。
決まるとしたら、セットプレーぐらいだろう、と思っていた。エラーノは、かなり正確な球を放ってくれるから・・・。しかし、そのチャンスもいくつかあったが、決めきれずにいた。


このまま、負けてしまうと、グループリーグ突破はかなり厳しくなる。
今まで、国民の支持もまずまず得られていたマノ・メネーゼスの進退問題にも発展していくのだろう、などと思いながら見ていた。


思ったような活躍ができていないネイマールが、13番のFWフレッジと交代した。ネイマールには期待していただけに、かなりがっかりだったが、このパフォーマンスでは仕方ないだろう。


残り5分を切り、もうダメだなと思っていた終了間際、ブラジルにゴールが入ったのだ。
よくわからないうちに入っており、ブラジルの選手たちは大喜びしていた。
フレッジが決めたのだ。
ガンソからのワンタッチパスを受けたフレッジが、体を反転させ、右足を振り抜いたボールは、ゴール左隅に入っていったのだ。
これには、私も喜んだ。絶対に負けると思っていたところだったから・・・。


そのまま試合は終了した。2−2だった。
ブラジルにとって、試合前は、勝たなければならないと思われていたはずだ。しかし、あまりに不甲斐ない試合ぶりに、何とか引き分けに持ち込み、グループリーグ突破さえ絶望的な状況から脱することができたのだ。
あまりに、お粗末な状況と言わなければならないが、それが現実なのだ。


それにしても、絶対的な強者なんていないんだなぁと思わざるを得ない。ブラジルもアルゼンチンも、それにウルグアイも、まったく勝てないでいる。勝てないどころか、まったく王者の風格がない。
どのチームも相当に力が拮抗しているのだろう。どこが優勝しても不思議でない。見た感じ、チリとかペルーのほうが、アルゼンチンやブラジルよりよっぽど強い感じがする。アルゼンチンは、相当に弱いと感じる。
日本が出ていたら、相当におもしろかっただろうと思う。かなりいいところまで行ったのではないだろうか・・・。


さて、一日明けて、日曜日の朝に新聞を買ったが、その1面は、何とラリッサ・ヒケルメ嬢だ。相当なインパクトだったのだろう・・・。



グループリーグも各グループともに残り1試合になった。
本当に、どこが勝ち抜けるのかまったくわからない。
ブラジルとアルゼンチンには、何とか勝ち抜けてもらい、強者の風格漂う試合ぶりを見せてもらいたいと思うのである。