リベルタドーレス サントスついに優勝!

ついに、サントスがリベルタドーレスで優勝した。これほど嬉しいことはないだろう。
それにしても、素晴らしい試合だった。


昨日、6月22日(水)のことである。リベルタドーレスの決勝第2戦、サントス対ペニャロールがブラジル・サンパウロのパカエンブースタジアムで行われた。


私は、試合が行われたパカエンブースタジアムの近くのBarで見ていた。
サンチスタの熱気で溢れかえるBarの中で・・・。


この日、私は仕事を終え、一路サンパウロへ向かった。
サントスがリベルタドーレスの決勝の舞台に立つことを目の当たりにする千歳一隅のチャンスである。万に一の可能性にかけ、一目散に試合の行われるパカエンブースタジアムに向かったのだった。


試合開始の1時間ほど前になっていた。スタジアムの周りは、既にサンチスタの皆さんで一杯だった。
いろいろな人に声をかけた。チケットを求める人は多かったが、皆、手に入らないと言っていた。


ああ、残念。生観戦は夢に終わってしまった。
ということで、せっかくスタジアムまで来たので、スタジアムの正面で記念撮影などして、試合が見れるBarに向かうことにした。



若干の土地勘はあるので、Barや飲食店のあるエリアに向かった。
ここパカエンブースタジアムの周辺は、高級住宅街なので、少し歩かなければ飲食施設はない。それでも、7,8分歩いたら、Barやレストランなどが出てきた。しかし、いかんせん高級なエリアである。TVなどないおしゃれなレストランばかりだったが、数件目で、TVのあるBarを見つけた。お客さんは、ほぼ皆サントスのユニフォームを着ている。間違えなくサッカー中継をやっていた。すぐに入り、TVの近くに席を探す。テーブルはすべて埋まっていたが、椅子が空いていたので、同席させてもらった。
この時点で、試合開始20分前ぐらいだったと思う。



とりあえず、他のサンチスタと同様にショッピ(生ビール)をもらう。
同席させてもらった人たちと乾杯した。
この人たちは兄弟で、ゾナレスチ(サンパウロの北部)から来たと言っていた。私に対して、「なぜサントスファンなのか?」と聞かれたので、「昔、サントスにはカズーという日本人選手がいて、その選手が好きだからだ。」
と答えた。


そんなやりとりを聞いていた隣のテーブルの人が、「カズー、カズー!」と言って、私に話しかけてきた。手のひらを合わせ拳を突き合わせるよくブラジル人同士が行うようなあいさつをした。


カズのことは、ここブラジルでは、カズーといわれよく知られている。
まだ、現役でサッカー選手をやっていると言ったら驚いてた。どこのチームかと尋ねられ、ヨコハマだと言うと、「ヨコハーマ!ジャポーン!」と言って、サントスも勝って、日本にいくぞと言っていた。
この人たちは、サンジョゼドカンポスというサンパウロから120キロほど離れた街から来たと言っていた。同じような人ばかりでなんだか嬉しかった。


そんなことをやっているうちに、店内には次から次にサントスのユニフォームや旗を纏った人々一杯になった。



さて、試合開始間近になり、先発選手の紹介がされた。


決勝最終戦ということで、サントスの全選手を紹介しよう。


GKハファエロ(1) サントスの守護神。かなり信頼感がある。私は、セレソンレベルだと思うが、わが社の社員には酷評する者も・・・。


右SBダニーロ(22) 普段ボランチでプレーすることが多いが、この日の右SBはジョナタンでもなくパラーでもなく、ダニーロだった。U20ブラジル代表で、オーバーラップから果敢にゴールを狙い、その決定力はなかなかのもの。まだ19歳で、かなりの逸材。イタリアへの移籍が噂される。


右CBエドゥー・ドゥラセナ(2) 昨年サントス加入して以来、常にキャプテンを務める。決勝第1戦を累積警告により出場停止。ひざの状態もよくないという情報もあったが、復帰した。セットプレー時には、必ずゴール前に上がり、ヘディングでのゴールも多い。


左CBドゥリヴァウ(6) 安定感あるCB。地味だが、確実な仕事をしてくれる。


左SBレオ(3) 過去にもサントスで長年プレーしている。左サイドを果敢に攻める。このポジションには、U20代表のアレックス・サンドロもおり甲乙つけがたい。


VLアドリアーノ(15) 地味だが、守備にいい動きをする。


MF右 アロウカ(5) 去年は、素晴らしい動きで私は絶賛していた。けが明けの今年早々は、去年の動きが嘘のように、ミスが連発し、しばらくレギュラーを外れていたが、調子を取り直し、再び先発に定着した。去年よりも、ゴールに向かう姿勢が強化された。5月15日のサンパウロ州選手権決勝第2戦で決めた値千金の先制ゴールが記憶に新しい。


MF左 エラーノ(8) セレソンの常連。今年サントスに復帰した。正確なプレースキック等でサントスをここまで牽引している。2003年のリベルタドーレスの決勝をホビーニョ、ジエゴなどと共に経験している。今回は何としてもそのときの雪辱を果たしたいと思っているはず。


MFトップ下 ガンソ(10) 今、ブラジルで最も10番が似合う選手と言われている。ブラジルが好む遊び心に富んだプレーを繰り出す。2か月ほどのけがから復帰し、いきなり先発した。ブラジル国内外での評価が去年から急上昇しているが、私にとっては疑問だった選手。しかし、この日のプレーはそんな私の見解を覆させるほどの力があった。


FW右 ゼ・エドゥアルド(20) 昨年、アンドレーがディナモ・キエフに移籍して以来レギュラーの座を掴む。最近若干スランプ気味。一時期の好調が見られず、サンチスタからの信頼度も落ちつつある。この試合終了後、イタリアへ移籍する予定。


FW左 ネイマール(11) 今のブラジルを代表する選手。弱冠19歳にしてブラジルで一番うまいとの評価。昨年は、素行不良などいろいろな問題があったが、それも克服し、今ではセレソンにも定着。足技、パスセンスなどどれも光り、ゴールも決める力もある。私も、一押しの選手。


以上の11名である。


さて、試合は、予定の夜9時50分より10分ほど遅れて始まった。


序盤からサントスが優勢に試合を進める。復帰明けでどうかと思ったが、ガンソが攻撃の基点になっており、かなりいい動きをしていた。
前半は0−0で終了した。


後半は、開始早々から試合は動いた。
中盤でボールを持ったアロウカが、ガンソとのワンツーを経てペナルティエリア前まで突破し、左サイドのネイマールに絶妙なパスを出し、それをノートラップでネイマールが決めたのだ。後半1分20数秒後のことである。
Barの中は大変なことになった。もう皆熱狂して誰彼構わず抱き合って大喜びだ。狂喜乱舞とはまさにこのことをいうのだということを身を持って体験した。



それからは、Bar中が興奮状態になった。皆総立ちになったのである。
その後もサントス優勢に変わりはなく、かなり安心して見ていられた。
そんな中、後半24分に右サイドを駆け上がったダニーロペナルティエリア直前ぐらいからゴールを決めたのだ。ダニーロは、ここぞというときに本当によく決めてくれる。
これには、また狂喜乱舞だ。
この2点目は大きかった。これで、かなり安心して見られるようになった。


後半30分ごろにTVの画面に出たシュート数がサントス12に対し相手のペニャロールは3となっていた。
それほど、この日の試合は、サントスが相当に優勢だった。
しかし、後半35分、オウンゴールで相手にゴールが決まってしまった。
DFドゥリヴァウがクリアしようとしたボールがそのままゴールに入ってしまったのだ。


これは仕方がない。
ちょっとやばいかなとも思った。その後もサントスには決定的なチャンスが2回ほどあったが、決められなかった。
そのまま、ロスタイム3分も過ぎてくれ、ついにサントス優勝の瞬間が訪れたのだった。


皆で抱き合って喜んだ。
ついに夢に見た、サントスのリベルタドーレス制覇が果たされたのだった。


Barでは、その後、帰る人が多かったが、私はセレモニーの最後までTV画面を見ていた。
リベルタドーレスの杯をキャプテンのエドゥー・ドゥラセナが掲げ、本当に優勝したんだと思った。
サッカーファンをやってきて、一番の喜びともいえる出来事だった。


結局、生観戦は出来なかったが、思いがけず、サンチスタたちで溢れかえるBarで熱狂の渦の中でTV観戦できたことは、とてもよかったと思ったのだった。


これ以上ないぐらいの満足感に浸りながら、歩いて帰路についたのだった。


サントスの選手たちは、試合終了後、パカエンブースタジアムでのセレモニー終了後、サントスのホーム、ヴィラ・ベルミーロに移動し、地元のサンチスタたちと朝の5時までフェスタを楽しんでいたと翌朝のニュースで報道していたのだった。