第4節クルゼイロ対サントス戦 ホジャー初先発総2軍のサントス、強豪クルゼイロ相手に勝ち点1を得ることができた。

私は、熱狂的なサントスファンのためほとんどのサントスの試合は見るようにしている。
先週6月11日(土)、ブラジル選手権第4節、クルゼイロ対サントス戦をTV観戦した。


現在、サントスは南米クラブ一を決めるリベルタドーレスの決勝に駒を進めている。ブラジルのどのチームでも、一番欲しいタイトルはリベルタドーレスだ。そのため、サントスは6月15日、22日に行われるリベルタドーレスの決勝に備えるため、この日のブラジル選手権の試合は、総2軍の布陣だった。ブラジルには、Jリーグにあるベストメンバー規定などないので、大抵どのチームでもこのようなことが行われるのである。


この日のサントスの10番はホジャーだった。なんと、私が4月にサンパウロのホテルで出会ったホジャーが初先発、それも栄光の10番をつけていたのだ。これには本当に驚いた。
このホジャー、サンパウロのホテルで会ったときには、オエスチというサンパウロ州のインテリオール(田舎地方)のチームにいた。このときは、サンパウロ州選手権の準々決勝でコリンチャンスと戦うためにサンパウロに来ていたのだ。そのとき、オエスチの選手たちはたくさんいたのだが、超ハードなモヒカン姿がとても目立っていたため、私はこのホジャーに声をかけ、一緒に写真まで撮ってもらったのだった。そんなホジャーだが、まさかの我がチームサントスに移籍し、それも移籍直後の5月末のブラジル選手権第2節から出場(途中出場だが)しているのだ。前節のアヴァイー戦では、後半3分から出場し、なかなかいい動きをみせていた。



そんなホジャーは、この日初先発、それも10番を背負っているのである。これには興奮しないわけにはいかない。
サントスの布陣はまさに総2軍であり、レギュラークラスは左SBのアレックス・サンドロ、そして最近移籍してきたリベルタドーレスには出場登録されていないボルジェスぐらいだ。しかし、いくら控えのチームとはいえ、10番をつけての先発には、驚くと同時にとても嬉しく思った。


相手のクルゼイロだが、こちらは本気モードだ。
このクルゼイロは、ブラジル中部の中核都市ベロ・オリゾンチの名門チームだ。あの最近引退したホナウド(日本での表記はロナウド)も最初はこのチームでプレーしていたのだ。
昨年のブラジル選手権で2位に入り、今年のリベルタドーレスの出場権を得た。
そんな今年のリベルタドーレスだったが、クルゼイロは最初から好発進を続けた。グループリーグ5勝1分け、それも5−0や4−0、6−1という試合ぶりで、圧倒的な強さをみせつけて、グループリーグ一番の成績で決勝トーナメントを決めた。そんな優勝候補の筆頭だと思われたクルゼイロだったが、まさかの決勝トーナメント1回戦で敗退してしまったのだった。
その後、ミナスジェライス州選手権では優勝したものの、ブラジル選手権ではいまだ勝ちなし、下位に低迷しているのだ。
クルゼイロにとってはホームだし、こんなバカにしたような総2軍のサントスには意地でも負けるわけにはいかないのだ。


さて、試合は終始、クルゼイロペースで進む。アルゼンチン人のMFモンチージョを中心に攻めるが、サントスのGKアラーニャの大活躍により、ゴールがまったく決まらない。
そんな試合展開だったが、サントスも時折、カウンターから惜しいチャンスがいくつかあった。その中心にいたのが、10番のホジャーだった。
前半のホジャーは素晴らしかった。2本の惜しいシュートもあったし、TV中継の実況者も絶賛していた。
前半はそのまま0−0で終了。


後半は早々にサントスのDFヴィニシウスがレッドカードをもらい退場してしまった。これによりサントスを窮地に陥る。その直後、FWチアゴ・アウべスに代えて入ったばかりのDFワラシがペナルティエリアで相手を倒してしまい、クルゼイロにPKを与えてしまった。これをモンチージョが決め、クルゼイロに点数が入ってしまった。
この後は、一人少ないこともあり、サントスは攻め手に欠いていた。クルゼイロにあと2、3点入っていても不思議ではなかったが、GKアラーニャの大活躍により、PKの1点に抑えていた。
そんな中、後半終了間際の後半44分に、FKからゴール前にいたFWボルジェスがきれいに合わせ、サントスにゴールが決まったのだ。起死回生のゴールだ。これには、私も熱狂した。
そのまま、試合は1−1で引き分けた。サントスにしたら、上々の結果だっただろう。


その後、クルゼイロの監督クッカの進退問題が発生した。
結局クビにはならなかったが、クルゼイロにとってはそれぐらいの失態であったのだった。